イエネコとは、人間によって家畜化されたネコ科の小型哺乳類のことをいいます。
私たちにとって身近な存在のイエネコですが、実はライオンやトラ、ヒョウなどといった、最強の肉食獣たちと同じのネコ科の仲間です。
イエネコの特徴は?
ご存じの通り、イエネコの世界中のお家に生息し、飼い主さんに溺愛され暮らしている、ネコ科の動物です。
体重は2.5~7.5kgの範囲に収まるものが多く、人間のお家で暮らすのに丁度よいサイズをしています。
イエネコは普段はのんびり暮らしていますが、他の野生のネコ科のように、身体能力が高く、優れた平衡感覚、柔軟性、瞬発力を持ちます。
また、鋭い爪や牙、音をあまり立てずに歩ける足などは、ネズミなどを捕獲するのに重要な役割を果たします。
イエネコの主食はキャットフードですが、もともとは小鳥やネズミなどを食べます。
ですから、イエネコの健康管理には良質なたんぱく質が欠かせません。
イエネコは本来は夜行性(薄明薄暮性)です。しかし、一緒に暮らす人の生活パターンに合わせてくれるため、夜に寝てくれるようにもなります。
性格は気ままでマイペースです。
イエネコはそのチャーミングな姿や仕草で私たちを虜にしますが、このイエネコ性格も、私たちを魅了する大きな魅力かもしれませんね。
イエネコが人と暮らすようになったのはいつ?
そもそもイエネコは、いつから私たち人間と共に暮らすようになったのでしょうか。
イエネコと人が友好的な関係を築き始めた歴史は古く、古代エジプト時代の紀元前1500~前1300年ごろには家畜として飼われていたといわれています。
猫の形のオブジェなどが発掘されたり、古代エジプトの王の墓の壁画にネコの姿が描かれていることからも、 古代エジプト人にとって、ネコの存在が生活の一部であったことがうかがえます。
古代エジプト人は、猫を神聖な動物として大切にし、国外への持ち出しも禁止していました。しかし、フェニキアの商人たちが密輸したことで紀元後1世紀ごろまでにはヨーロッパに伝わり、その後、世界中に広まっていくことになります。
日本にイエネコがやってきたのは6世紀頃。
中国から仏教が伝えられた際、大切な経典をネズミから守るため、船にネコも一緒に乗せてやってきたのが始まり、といわれています。
イエネコの祖先は?
そんなイエネコの祖先は、どんな動物なのでしょう。
イエネコと同じ、食肉目ネコ亜目ネコ科ネコ属に分類される、ヤマネコの1亜種がイエネコの祖先と言われています。
そのヤマネコとは、学名Flelis silvestrisというヤマネコで、「リビアヤマネコ」、「インドサバクネコ」、「ヨーロッパヤマネコ」の3種の亜種に分類されます。
この3種のうち、どのヤマネコがイエネコの祖先なのが、長年議論されてきましたが、2007年に行われたDNA解析の結果、「リビアヤマネコ」がネコの祖先であると結論づけられました。
ネコの祖先・リビアヤマネコは、赤道以北のアフリカ・中近東に生息するネコです。
リビアヤマネコとイエネコには、さまざまな点において似通ったところが見られます。
リビアヤマネコは、体長45~80cm、体重3~8kg、尾長は30cmほどと、大きさも形態もイエネコに似ています。
生息地である砂漠のような明るい褐色の体毛には薄く縞模様が入り、どことなくイエネコのキジトラを思わせます。
さらに性格の面でも、野生のネコ科の中では人懐こい性質を持つようです。
このような特徴も、甘え上手なイエネコとリンクしますね。
まとめ
私たち人間と共に暮らすようになって久しいイエネコ。
その愛くるしい姿と仕草で私たちを魅了し、時には心の支えにもなってくれるイエネコは、今や私たちにとってなくてはならない大切な存在です。
イエネコと人との友好的な関係は、先人と先ネコたちが長い時間をかけ、築き上げた信頼関係のたまものなのかもしれません。